2014年7月25日金曜日

7.25 特別寄橋 【第一回】衛藤文秋

【出会い】

私は農家の三男として生まれ、中学卒業後大分電波高等学校へ入学した。
成績はアホだ。この学校の一年先輩に三代さんがいた。学校は汽車で一時間半位かかる、二駅離れた通学の途中に三代さんの家があった。


初めて会った時は校門の前、胸を張り

「オハヨウ!」

と生徒に声を掛け、服装の良くない者に

「明日までにビシッとして来るように!」

と後輩先輩を問わず注意をしていた。
その時は生徒会の人かなと思いました。
後でわかったのだが、この学校には生徒会はなく、自主的に行っていたのだそうだ。

朝礼の時ザワザワしていると、校長より先に台に上がり

「皆さん!オハヨウございます」

するとシ—ンとしたものだ。


ここは県内随一電波男子校で、広範囲から寄せ集めで、頭のいいのも、アホもいる変わった学校である。
全校500人、中で最も特別なのが三代さん。とにかく、真っ直ぐ、曲がった事は大嫌い。
ある時授業中いきなり、

「先生失礼します」

教室へ入って来た。

「全員起立、手を頭の上に!」

前から順にポケットの検査。
タバコ、凶器を持ってる者はその場でゲンコツ、何も言わん!
注意もせん、先生にも言わん!全員済むと、

「どうも授業中失礼しました」

と出ていく。誰も文句を言わん!
初めての先生はキョトンとしている。
年に何度かあった。

それでも人気があった。
今思えば新貝少年院とも呼ばれたこの学校を何とか良くしたいと一人で行動に出ていたんだなぁと思う。

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